伝統と技術の継承
Tradition and technique国重杜氏から宮家杜氏へ
国重杜氏から宮家杜氏へ
国重杜氏の「自分の好きな酒を造る。納得のいく酒を造りたい。」というこだわりは、酒造りを通じて強く感じていました。もちろん造って終わりではなく、消費者の方に飲んで楽しんでもらいたい。国重杜氏は人によく酒を飲ませる、いわゆる「飲ませ上手な人」でした。
私も同じように「自分が好きだと思える酒」を造り続けたいと思います。酒は世の中にたくさんありますが、常に皆さまの選択肢にあり続ける一本であってほしいと強く思います。
私が受け継いだことのほとんどは、国重杜氏が最も苦労した地元の一般米「オオセト」を使った独自の酒造りについてです。
オオセトは好適米と全く違う性質を持っており、山田錦や雄町といった酒造好適米と同じように扱うと酒になりません。一般的な酒造好適米しか触れていない杜氏では扱いきれない米です。
オオセトの特性を理解して麹菌を回したり、最適な温度・湿度管理を行うためには、とにかく知識と経験が必要で、国重杜氏に教えをもらいながら何度も試行を繰り返すことでその特性を身体で覚えて、技術を継承しました。
綾菊酒造は創業当時から地元香川県産米での酒造りを基本としており、特にオオセトでの酒造りは国重名誉杜氏が過去に10年もの歳月を掛け、研究に研究を重ねて築き上げた歴史があり、綾菊として非常に強い想いのある米です。 今後もオオセトを使った新しい酒にチャレンジしていきたいと思います。
これまで15度の原酒、純米吟醸国重原酒、超辛口純米、精米歩合25%のオオセト純米大吟醸など、多くの商品にチャレンジしてきましたが、「オリーブ純米酒」の製造は綾菊酒造と私にとって全く新たな試みでした。
オリーブ酵母による最適な味を想定しても、そこに照準を合わせることが非常に難しい。なにしろオリーブ酵母を使った酒造り自体が新しいため、知見のある杜氏や関係者が身近にはおらず、本や事例も無い手探り状態で進めなければいけません。自身の25年間に及ぶ酒造りの経験と、グループ会社の技術統括部門と協力・試行錯誤の結果、今までにないオリーブ酵母×香川県産米『ALL香川の酒』を造り上げました。
酒造りの町・杜氏の里として知られる広島県東広島市安芸津町で生まれる。
地元の酒造りに興味を引かれ、高校卒業と同時に酒造会社に就職。
杜氏として酒造りの道で生きる事を決心し、賀茂鶴酒造で9年間の修行を積む。
酒蔵での修行を経て、昭和45年(1970年)に33歳で綾菊酒造の杜氏に就任。
地元、香川県丸亀市飯山町で生まれる。
酒造りに興味を持ち、国重氏の醸した酒に惚れ込んで綾菊酒造に入社。
以後21年間に渡り、国重杜氏の愛弟子として修行を積む。
技術を受け継ぎ、平成27年10月より杜氏としてデビュー。
今後も国重弘明の伝統と技術をしっかりと継承しながら、新しい事にもチャレンジした酒造りに取り組みます。
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